「人種のサラダボウル」といわれるほど多様な人種や文化が混ざり合い、新しいものを生み出してきたアメリカ。自由な発想で様々なファッションが誕生しています。食品や雑貨の取り扱いから、ワークウェアの人気を見抜きジーンズの自社生産をスタートさせたリーや、50年代に米軍からジャケットの見直し依頼を受け、MA-1の最大手メーカーとなったアルファ。レディスウェアから始まり、香水、下着までを設立から10年足らずで展開し一世風靡したカルバン・クライン。ミルクフェドを設立したソフィア・コッポラは、3年後に映画監督デビューを果たしたのも、ハリウッドの国ならではの伸びやかな転身です。ニューヨークでメッセンジャーバッグとして誕生したマンハッタンポーテージは、目まぐるしいスピードで変化する都会のライフスタイルに寄り添い続けています。

　アップルやマイクロソフトなど世界を牽引するテクノロジー企業がひしめき合うアメリカ。デジタルデバイスをよりベターに収納し持ち運ぶことに着目したインケースの誕生も、IT企業が近くにあるお国柄かもしれません。最新テックが生まれる一方で、ロハスやオーガニックにもアンテナの高いアメリカは、当然コスメブランドも最新。ニューヨークでアポカリー（調合薬局）を起源とするキールズや、ヘアサロンから始まりUSDA認証製品をつくるまでに至ったジョンマスターオーガニック セレクトは、ヘアケアだけでなく「アースケア」として、地球環境にも配慮した商品を生み出しています。

　日本の豊かな土地によって育まれた、製品のクオリティと安全性の高さは世界屈指。北海道の大自然から誕生したシロは、食品メーカーとしてスタートした背景もあり、北海道の酒かすやがごめ昆布などを原材料にした製品が多いのが特徴です。南は沖縄、スイサボン 首里石鹸も、沖縄産の野菜や果物を使用し、島の恵みがぎゅっと詰まった商品ばかり。手鏡に映った京女性のロゴマークが目印のよーじやは、1904年に京都で舞台化粧道具を販売したことが始まりでした。300年の歴史を誇る中川政七商店の商品。「日本の工芸を元気にする！」というビジョンを掲げており、日本各地のものづくりに出会うことができます。

　繊細な職人の技巧は世界一を誇る日本。海外の有名シェフたちはこぞって日本製の包丁を使っているといいます。その職人技が光るのは、刃物だけではありません。海外にも進出する金子眼鏡店のセルロイド眼鏡職人山本泰八郎がつくるフレームは、世界中に多くのファンがいます。数々のラグジュアリーブランドも注目する岡山デニム。国産ジーンズの発祥地である倉敷市児島で生まれたジョンブルは、余剰生地を再利用し、パッチワークから縫製、加工まで全て手作業で制作しています。パーツを自由に付け変えられるカスタムウォッチブランドのパイオニア、メーカーズ ウォッチ ノットも、日本製にこだわったものづくりを徹底。日本の伝統工芸や技術とのコラボレーションも行い、メイドインジャパンを世界に発信しています。

　上流階級と労働者階級が多くの文化を生み出してきたイギリス。「英国製」ブランドは、世界中から一目置かれる存在です。厳選された英国製の逸品を通じて「英国のストーリーあるライフスタイル」を伝え続けているブリティッシュメイドや、テニスプレーヤーが創立したフレッドペリー。ファッションのみならず、一般家庭でもハーブ療法が浸透する英国では、ナチュラルアポセカリー（自然薬局）でスタートしたニールズヤード レメディーズをはじめとする、自然派ブランドが根強く支持されています。ナチュラルな原材料にこだわり、保存料不使用のラッシュや、元ファッションエディターが手がけるハイファッションとラグジュアリーを軸に爪にやさしい処方で鮮やかな発色と超速乾を実現したネイルズ インク。現在の「英国製」は作り手も買い手も階級を超えているのです。

　数年前のベストセラー本「フランス人は１０着しか服を持たない」にあるように、フランス人は質素ながらも暮らしの質を高めるのが上手。モノを大切に長く使う彼らの精神は色々なところに。セントジェームスは、漁師や船乗りのための丈夫なワークウェアが原点。長く着られる丈夫さと飽きのこないデザインは、フランスたる所以かもしれません。使い終わっても保管しておきたくなるデザインが特徴のオフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは、自然の恵みを大切にし、香りの楽しみ方を味わい尽くす品揃え。「守ること」と「後世へ伝承すること」を信念に掲げるロクシタンは、蒸留したローズマリーのエッセンシャルオイルをマルシェで販売することからスタート。今ではものづくりだけでなくスパやカフェなどを通し「暮らしの芸術」を伝えています。

　勤勉で頑固といわれる国民性を持つドイツ。メルセデス・ベンツやBMWを生んだ自動車大国であり、欧州随一の経済大国ですが、世界を牽引するシューズ大国でもあります。足の解剖学に基づき培われた靴職人の技が、究極の履き心地を実現させたビルケンシュトック。コルクを使用し、素材や品質にもこだわり「自然な歩行」を促すために足を快適にサポート。シューズ業界の伝説、ダスラー兄弟もまた、偉業を残してきました。兄弟喧嘩の末、弟のアドルフがアディダスを、兄のルドルフがプーマを創業。アディダスはサッカーやバスケットボール、そしてダンスや音楽など様々なカルチャーに影響を与える世界トップのブランドに成長。ほぼ一代でアディダスを築き上げたのはやはり勤勉さゆえなのでしょうか？

　ノーベル賞を生んだスウェーデンは、学びに重きをおく国。スウェーデン人のフィリップ・タイサンダーが旅で出会ったイギリス紳士に影響を受け誕生したダニエル ウェリントン。「完璧なミニマリストウォッチをデザインする」ことを掲げ、その紳士の名前がブランド名に。他国に学び、敬意を払う、スウェーデンの気質かもしれません。

　韓国発の本格派コスメブランドも増え、特にオーガニックやヴィーガンのコスメの注目は高まるばかり。韓国、済州島の自然の恵みを詰め込んだナチュラル派ブランド、イニスフリーもそのひとつ。「グリーンティー」と「ブラックティー」のセラムは、大人気のロングセラーの美容液。

　情熱の国、スペイン。シエスタがあり、明るく陽気な国民性は、お菓子にまで。地元では「面白いお菓子屋さん」として認知されているパパブブレの商品は、見るだけでハッピーな気分に。大胆な発想と、細部へのこだわり。小さなキャンディひとつで人を幸せにできるのも、作り手の情熱がなせるわざ。